hiro

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2024/01/20

2023年に読んだ本や見た映画の振り返りをしようと思ったけど、

改めて振り返ると、去年はめちゃくちゃ漫画読んでました。あと韓国アイドル(主にセブチ)にはまってました。

あれ、全然書けることないかもーと思いつつ振り返る。

 

映画は25本見てました。少ないし、そんなに心動く出合いがなかったです。

おととしか、セリーヌ・シアマの『燃ゆる女の肖像』を見たときは、しばらくこの映画から抜け出せないくらいで、すごい才能のある監督の素晴らしい映画だと思ったんですが、それくらいの衝撃を受けることはなかった。ただ、数打たなきゃ出合えないんですよね。だから絶対数が足りなかった。

挙げていくと

ゴッドファーザーフランシス・フォード・コッポラ

麦秋小津安二郎

「主戦場」ミキ・デザキ

アンダーグラウンドエミール・クストリッツァ

「秘密の森の、その向こう」セリーヌ・シアマ

 

番外編で「ルージュ」(スタンリー・クワン)のレスリー・チャン

が印象に残ったかなあと。

麦秋とアンダーグランウンドは見たの2、3回目くらいかな。最高到達点みたいなセカオワの曲ではない)映画です。

 

主戦場で

「重大な 人権侵害の犠牲者に

それ以上 何を期待できるのでしょうか?」

という言葉がありました。

従軍慰安婦だった女性の証言が細部について変わっていることに対し、それをもとに証言の信憑性を疑う声への反論であったと記憶していますが

これを見た時にハッとしたのを覚えています。

去年は、ジャニーズ事務所ジャニー喜多川の性加害問題に起因して解体した年でもあったんですが、被害を訴える人たちに対する誹謗中傷は、ひどく思いやりに欠けるものであったと思います。そのようなものを見るたびに、この言葉が浮かびました。

 

「秘密の森の、その向こう」

監督のセリーヌ・シアマは当代最も注目すべき監督の1人だと思います。「燃ゆる女の肖像」がもう本当にね…涙涙

あそこで...振り向いてしまうんですよね...!やっぱり...(見た人にしか分からない感想を入れないでください)

涙しか出ない。

この人の映画、すごく好きです。

静謐な画面に、色彩の構成がすぐれている。

音楽の使用が最小限になっている分、ここぞという時に使われる音楽が響く。人の声を重ねたものが多く、音楽というより、神への捧げ物みたいな無垢で原初的な荘厳さがあるんです。

 

レスリー・チャンは…いいですよね。目がいいんですよね。悲しげで優しげで。

同じアジアでも、日本とは纏う空気の湿度が違うような、流れていた時間が少し違うような、そんな魅力が香港の映画スターにはあります。

 

本は

「証しー日本のキリスト者最相葉月

「影に対して 母をめぐる物語」遠藤周作

「パチンコ」ミン・ジン・リー

「韓国現代詩選」茨木のり子

 

を読んでいた時間がすごく濃密で楽しくて幸せでした。

日本には少ないキリスト教信者135人へのインタビューを編んだ1000ページを超える大作「証しー日本のキリスト者」。

親がクリスチャンで教会に連れて行かれ日曜学校に行き、高校までカトリック系の学校だった私自身の宗教的バックグランドにキリスト教カトリックの存在は結構大きく

子供の頃は純粋に神様はいる、と思っていましたし、

(小さい頃は神様がいて〜♪by 荒井由実が流れる)

神の子イエス・キリストをこの世につかわし私たちの罪を贖い、マリア様は見守ってくださるし、という世界を純粋に捉えていたように思います。マリア様の存在がすごく大きいのがカトリック的ですよね。

小学校に上がる前、イエス様が十字架にかけられ亡くなった、という子供向けのキリスト教の本を読んでいて、ある日ハッとして、「これって本当に起こったことなの?」と聞きに行った思い出があります。力強く「そうなの」と言われ、この世のむごさに子供ながら愕然としました。

成長するにしたがい、もの思う思春期を過ごす子だったのでいろいろな情報を仕入れ懐疑的になったりもしましたが

今はそういう気持ちも薄れ、なんとなくそういうものなんじゃないかな、と静かに思ったりします。宗教というのは深く考え込むものではなく縛られるものでなく、もちろん搾取されるものではなく、ただあるべき場所で偶然注がれた祈りを受け入れるものであるような気がします。

自分語りが長くなりましたが、「証し」はそれぞれの個人レベルの信仰について語られていて

ある宗教の姿を生活と即した形で浮かび上がらせていて興味深かったです。それぞれが物語を持っていて、日本人とキリスト教の関係、どのように息づいてきたかを垣間見ることができました。

去年、なんとなく遠藤周作の本をいくつか読んだのも、「証し」から始まっている気がします。

「パチンコ」もある種キリスト教がベースにある物語でもあるんですよね。結婚が叶わない男との子をみごもったソンジャを受け入れ夫となるのは、牧師であるイサク。その行動の原動力となったのはキリスト教的精神だったと思います。ああ、映像化でイサクを演じるなら誰がいいだろう...(話変わるね)

茨木のり子訳編の「韓国現代詩選」は書店で手に取って開いた時

趙炳華の「時間はもっぱらその席に」という詩が出てきて、それで即買いました

時間はのんべんだらり一つの席にいるのです

悠久にただゆったりと一つの席にいるのです

変化し 過ぎ去るのは 人間だけ

時間はとこしえにひたすら一つの席にいるのです

 

韓国文学、ってあんまり読んだことないのでこれから勉強していきたいです。

「1982年生まれ、キム・ジヨン」チョ・ナムジュが話題になったときに読んで以来かも...

「1982年生まれ、キム・ジヨン」は面白かったのですが小説としての形が、日本の小説とは結構違うんではないかなと思い少し戸惑った覚えがあります。そうは言っても、あまり韓国文学のことを知らないので分析する力もなく。

私は当代の好きな作家を挙げろ、と言われたら村田沙耶香柴崎友香川上弘美、とかになるので

そもそもの作家性が割と違いますから、それ由来にすぎないかもしれない。

韓国の現代美術と現代詩には同じ魅力を感じます。日本とは違うけど、ゆるやかにつながり共有してきたような東アジア的な時間の捉え方、というより間隔の取り方?

物の「色」の捉え方、表し方。